Jan 30, 2016

丈夫なタデアイ


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◆ あまり知られていないタデアイの姿

藍染めをご存じな方は多くても、その染料となる「すくも」をご覧になったことのある方は少ないのではないでしょうか。

そのもととなる植物の「タデアイ」をご覧になったことのある方は更に少ないと思います。

藍の種、葉、花がどのような姿をしているかご存知の方は、おそらくご家族が何らかの形で染料の「すくも」を作る職人「藍師(あいし)」とかかわりのある方か、染色作家さんなどではないでしょうか。

それぐらいその姿を知られていない植物ですが、大変強い生命力を持ち合わせています。

その象徴的な景色を、毎年5月頃に観ることができます。

ゴールデンウィーク前後に小さな藍の苗を育苗箱から取り出して畑に定植しますが、その作業が意外なくらいに乱暴です。

 

◆定植作業はダイナミック

タデアイを定植するときは3~5本を束にして同じ場所に植え付けます。

成長するにしたがって茎の分岐が進み、自分で自分の重みに耐えづらくなって、風が吹くとすぐに倒れてしまうため、お互いが支え合って立っていられるようにするのです。

水の好きな植物なので畝を作らず、苗を植える列を作るガイドに沿って真っ直ぐ溝を掘っていきます。

その溝に沿うように、手のひらに収まるほど小さなタデアイの苗を置いて土をかぶせ、固定させます。

それを繰り返して1列の作業を終えると、大切に植えたばかりのタデアイの苗の根元を「これでもか!」と言わんばかりの力で垂直にギュッと踏みつけます。

普通の苗の植え替えなら苗の上に柔らかくかけた土を踏みつけたりしないのですが、タデアイの場合は「活着を良くするため」という理由で、見るからにか弱い苗には過酷にも見える仕上げ作業です。

何も知らずに見たら、こんなことをして大丈夫なのかと心配になってしまう光景ですが、大丈夫なのです。

こうやって毎年元気なタデアイが、ちゃんと育ってきたのです。

 

◆雨にも負けず 風にも負けず

そうやって植え替えられたタデアイは、梅雨の季節にたくさんの雨が降ると勢いを増して大きな株に成長します。

人の腰程の高さまで成長すると、小さな森のように株が盛り上がって賑やかです。

ここまで育てば、少々の風が吹いても心配はいりません。

そして、タデアイには水害にもとても強い性質があります。

以前、藍の葉の刈り取り前に台風が上陸したことがありました。

農園周辺の水路が決壊するほどの雨量で、藍畑は株の3分の2の高さまで水に浸かってしまいました。

そしてそのまま水が引かず、3日も経過してしまったのです。

今年の藍はダメかもしれない…と半ばあきらめながら眺めている私たちをよそに、タデアイ自身には何のトラブルも無く大きく育ってくれました。

水が好きだとは知っていましたが…3日も冠水していても大丈夫だとは知りませんでした。

藍の強い生命力にあやかって、私たちも強くしなやかに生きて行きたいものですね

 

 

文:坂東未来(ばんどうみき 藍色工房代表取締役)

 


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